Appleによって開催されたAnnualカンファレンスで、モバイルとデスクトップOSの新iOS 15とmacOS 12 “Monterey “など製品ポートフォリオのアップデートを発表しました。
またこれらの新製品以外にもAppleはプライバシーとセキュリティに焦点を当てたサービスの強化を発表しています。
これは毎年のWWDCの恒例行事となっており、Appleはユーザーの安全を保護するために多くのリソースを投入しています。
プライベートリレー(Private Relay)
Appleの新しいプライバシー機能の中で最も重要なのは「Private Relay」と呼ばれる新しいサービスです。
VPNサービスであるPrivate Relayは、ユーザーのSafariブラウザのトラフィックを2つのプロキシノードを介して中継し、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)やインターネットサービスプロバイダなどネットワーク上の第三者からユーザーの身元を隠すことができる機能です。
Apple Cloud Servicesの副社長であるマイク・アボット氏は「この機能はユーザーが誰であるかどのサイトを訪れているか、Appleを含む誰も知ることができないように設計されています」と述べています。
アップルによるとこの新機能はアップルが今年後半に発売を予定しているiCloudサービスの有料版である「iCloud+」に含まれるとしています。
残念ながら、ベラルーシ、中国、コロンビア、エジプト、カザフスタン、サウジアラビア、南アフリカ、トルクメニスタン、ウガンダ、フィリピンなどの国では、このPrivate Relayサービスは提供されない予定です。
アップルは「規制上の理由」を理由にしていますが、セキュリティ専門家はこの重要な機能を実際に最も必要としているユーザーに提供していないことを指摘しています。
電子メールを隠す(Hide My Email)
またiCloud+にはプライバシーを重視した追加機能も搭載されます。
「Hide My Email」という機能はユーザーがランダムな電子メールを生成して怪しいサイトに提供したり、実際のアドレスを隠して受信メッセージを転送したりすることができるというものです。
この機能はメール・Safari・iCloudの設定に組み込まれており、必要なメールアドレスを簡単に設定削除できます」と述べています。
この2つの機能はどちらもWWDC 2019カンファレンスで以前に発表されており、iCloud+の一部として広く利用できるようになる前にユーザーに限定的に提供されてきました。
Find My [Device]のオフライン対応
Appleは「Find My [Device]」サービスの動作変更も発表しており、iOS 15からAppleは「Find My [Device]」機能が、電源を切ったデバイスや工場出荷時にリセットされた後のデバイスも識別して探すことができるようになると説明しています。
複数のユーザーがTwitterで指摘したように、この新機能は盗まれたiPhoneの地下ブラックマーケットに対抗するための対応策であり、窃盗犯が逃げたり盗まれたデバイスを再設定したりすることが困難になると考えられます。
セキュリティアップデートの新モデル
WWDC21で発表された大きな変化は、セキュリティアップデートの扱いに関するもので、Appleは今後GoogleやMicrosoftがAndroidやWindowsでセキュリティアップデートや製品アップデートを扱うのと同様、セキュリティアップデートとOSの機能アップグレードを初めて切り離して提供すると発表しました。
これにより、秋にリリースされるiOS 15ではユーザーはiOS 14のままでセキュリティアップデートを受けることができるようになり、これまではOSをアップグレードするしかセキュリティ機能のアップデートが不可能だったことが可能になります。
アプリのプライバシーレポート(Safari Privacy Report)
さらにユーザがアクセスしているサイトがSafariブラウザのユーザーからどのようなデータを収集しているかを示す「Safari Privacy Report」を拡張すると述べています。
AppleはiOS 15からユーザーがiOSの設定で新しいセクション「App Privacy Report」を利用することができ、ユーザーはアプリがどのような権限にアクセスしているか、またどのドメインにネットワーク接続を開始しているかを確認することができます。
メールのトラッカーをブロックするメール
メールアプリのセキュリティ強化も発表され、トラッキングピクセルなどメールメッセージ内に隠されたトラッキングコードをブロックします。
このような機能を備えたブラウザやメールクライアントの拡張機能は以前から存在していますが、主要なOSベンダーがこのような防御機能をアプリにネイティブに組み込むようになりました。
2要素認証アプリの搭載
AppleはGoogleやMicrosoftのAuthenticatorアプリと同様の独自の認証アプリをリリースする予定であると説明しています。
iOS 15に搭載される予定の新しい認証機能により、ユーザーはサードパーティ製の認証アプリやSMSで送られてくるコードを利用するのではなく、iPhoneのスマートフォンを使ってワンタイムパスコードを生成し、オンラインアカウントの2要素認証保護を簡単に有効にすることができます。
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