NortonLifelockは、Norton 360アンチウイルススイートが近々PCがアイドル状態の時にイーサリアム仮想通貨をマイニングできるようになると発表しました。この記事では、新しい「Norton Crypto」機能を実際に使用して、何が良くて何が悪いのかを紹介します。
「Norton Crypto」機能は、新機能にいち早くアクセスできるノートンのEarly Adopter Program(EAP)で初めて導入される機能です。
Norton Cryptoの発表の際は、ウイルス対策ソフトが暗号通貨のマイニングを提供するのかという憤慨する声などさまざまな反応がありました。
一般的には暗号通貨ユーティリティーはウイルス対策ソフトウェアによって悪意のあるものとして認識されていますが、ノートンによるとウイルス対策ソフトウェアをオフにする必要のないイーサリアムのマイニングツールに代わる安全な機能を提供すると述べています。
この機能をテストするために、BleepingComputerはノートン360のライセンスのEAPプログラムに参加して、新機能がどのように機能するかを検証し記事を公開しました。
「Norton Crypto」の良い点
「Norton Crypto」の良い点は、簡単に利用できイーサリアムのマイニングを簡単に始めることができることです。
「Norton Crypto」を使用するには、ユーザーは英語圏の国の出身で3GB以上のメモリを搭載したGPU、NVIDIA 1050 3GB以上、Windows PCを持ち、ノートンのEarly Adopter Program(EAP)に参加する必要があります。
EAPプログラムに加入しノートン360をアップデートするとマイノートンの画面に “Turn your PC’s idle time into cash “というメッセージが表示されます。
「Show me how」のリンクをクリックすると、NortonおよびNorton Cryptoの使用許諾契約書に同意するよう求めるページが表示されます。契約に同意すると、Norton Cryptoのメイン画面が表示され、以下のようにマイニングを有効にすることができます。
マイニングを開始すると、Norton CryptoはGPUを使用してEthereumのマイニングを行い、この機能がGPUの処理能力を100%使用します。
ちなみにマイニングにはGPUのみが使用されるため、多くのユーザーが懸念していたCPUの利用は確認できませんでした。
ノートン360がインストールしている状態でEAPプログラムへの参加→新バージョンのノートン360のインストール後の再起動→Windowsの再起動→Ethereumの起動までに約10分かかったと述べています
「Norton Crypto」の悪い点
Norton Cryptoの使用中に見られた問題点は3つ挙げられており、Norton CryptoはPCがアイドル状態の時にのみマイニングを行うとしていますが、ゲームを起動するとマイニングを行っていると表示されました。
「Norton Crypto」のもう1つの問題は、この機能をテストしつづけた36時間の間で1ドルも稼げなかったことです。
イーサリアムを1人でマイニングするのは困難なため、多くのマイナーはプールに参加し全員がGPUの処理能力(ハッシュレート)を組み合わせて、一緒にブロックをマイニングします。
プールがブロックを採掘した場合、Ethereumの報酬は貢献度に応じてすべてのマイナーに分配されますが、マイニングプールは報酬の1%~7%の管理費を受け取ります。
Norton Cryptoも独自のマイニングプールを使用していますが、利用できるのはEarly Adopter’s Program(EAP)のみで、ユーザー数はかなり少なくなっています。このため、大規模なプールに対抗してブロックの採掘を成功させるために利用できる複合ハッシュレートは多くないと思われます。
より多くのユーザーがNorton Cryptoを使用するようになれば改善されるとしていますが、現時点では大規模なプールがEthereumブロックの大部分をマイニングしているためユーザーは多くの報酬を得られない可能性が高いです。
3つ目はNorton CryptoはGPUを100%使用し、使用率をへらす設定方法はありません。これにより、長時間の使用や高温によるグラフィックカードの寿命が短くなり、大量の電力を使用することになります。
Norton Cryptoの高額なプール管理手数料
マイニングプールを利用する場合、プールはすべての支払いから管理費を徴収します。これらの手数料は通常マイナーを惹きつけるための新しいプールでは0%、大規模なプールでは2.5~3%という管理費設定になっています。
Spark PoolやEtherMineのような最大のEthereumマイニングプールの中には、支払いから1%の手数料しか取らないところもあります。
一方、Norton Cryptoは、Ethereumの報酬を支払う際に15%という途方もない請求します。
Norton Cryptoの利用規約では、
プールで獲得したマイニングの報酬がある場合は、参加のタイミング、貢献度によってクレジットされたシェアの数、そのシェアに基づいて生成されたEtherの量に基づいてお客様に還元されます。当社はお客様が割り当てたCryptoがある場合、当社はお客様のデジタルウォレットに定期的に転送します。これらの転送には、Norton Cryptoマイニングソフトウェアを提供するための当社手数料がかかります。当社の手数料は現在お客様に転送されるcryptoの15%です。請求される手数料が変更された場合は、事前に通知します
と説明しています。
最大規模のEthereumプールは1%の手数料しか課していないため、この15%という手数料はマイニング報酬に大きな違いをもたらします。
例えば、Spark PoolとEthermineで採掘報酬が5ドルの場合、手数料はわずか0.05ドルです。しかしノートンのマイニングプールでは、0.75ドルの手数料がかかり、0.70ドルの差があります。
時間が経てば立つほど、この手数料の大きな差がかなりの金額になり、Norton Crypto機能を使用する価値はないのではないかとしています。
最後に、EthereumはProof-of-WorkからProof-of-Stakeマイニングプロセスに移行する予定で、ブロックチェーンに賭けたコインの数に応じてユーザーにブロックの報酬を与えるものです。
EthereumがProof-of-Stakeマイニングプロセスに移行するとNorton Cryptoは役に立たなくなるため、このタイミングでマイニング機能を追加するのはおかしいと締めくくっています。
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