各国のサイバー攻撃対策予算が年々増加:日本は第2位、アメリカの予算は日本の3倍超の2000億円

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The Recordの分析によると、サイバー防衛やインシデント対応に充てる適切な予算について、世界中の国々でバラバラなようですが、近年ほぼすべての国でサイバー関連の支出が増加していると発表しています。

The Recordのチームは、サイバー攻撃の対応に主に担当する20の機関がどのくらいの予算を使っているかを調査し発表しています。

政府関係者へのインタビュー、公文書の請求、学術機関や政府機関による試算などを通じて、The Recordチームはサイバーセキュリティにおける支出が各国かなり大きく乖離しているとしています。

サイバー対策予算は、わずか数百万ドル(コロンビア、ボツワナ)から20億ドル以上(米国)まで多岐にわたっており、各国がこれらの問題にどれだけの予算を投じるべきかという問題はそれぞれの国の議員がサイバーセキュリティに対してどのように深刻に受け止めているのかを判断する指標になります。

サイバー対策予算支出の違いは、国の規模や相対的な経済規模で簡単に説明できるものではなく、例えば人口500万人以上の「ファイブ・アイズ」メンバーであるニュージーランドでは、コンピュータ緊急対応チームの設立に約16億円(1,600万ドル=2,220万ニュージーランドドル)を費やしています。

同じく人口570万人のアジア太平洋地域の国であるシンガポールにおいては、シンガポール・サイバーセキュリティ庁の関係者からの情報で年間250億円(約2億5,000万ドル=3年間10億シンガポールドル=3年間で800億円)を費やしているとしています。シンガポールのCSAは、同国のCERT機能を兼務しています。

インドのCERTの2021-2022年の予算は約29億円(2,950万ドル)です。インドの約40分の1の人口を抱えるカナダでは、Centre for Cyber Securityに年間約36億円(3,670万ドル)の予算が割り当てられています。

この予算比較で注目すべき点は米国との乖離であり、2018年に設立され国のデジタル緊急対応チームを擁する「サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁」の予算は約2000億円(20億ドル超)となっており、日本の「サイバーセキュリティのための国家危機管理・戦略センター」の665億円(6億6500万ドル)の約3倍の規模となっている

このアメリカの予算は、イギリスの国家サイバーセキュリティセンター(公開文書によると350億円=3億5,000万ドル)、ドイツの連邦情報セキュリティ局(関係者によると240億円=2億4,000万ドル)、フランスの国家サイバーセキュリティ庁(公開文書によると165億円=1億6,500万ドル)の予算をも凌駕しています。

中国をはじめとする他の国でもサイバー攻撃対策にかなりの額を費やしていると思われますが、この件に関するデータは公表されていません。

アメリカの都市レベルでも他国と比べてダントツ高い

米国の各都市においてもサイバー攻撃対応のための予算は、各国を上回るものとなっています。

例えばニューヨーク市は2017年に市全体のサイバー防衛とインシデント対応を指揮する「サイバー司令部」を設立しました。市の財務部門の資料によるとこの機関の予算は135億円(1億3,500万ドル)で、2020年の予算から約40億円(4,000万ドル)増加しています。

これは、オーストラリア、イスラエル、ベルギーなどの国々の同機関を凌ぐもので、ブリュッセルに拠点を置くNATOやEU機関などの国際機関を支援することも任務のひとつとなっています。

ニューヨーク市のサイバーコマンドを率いるジェフ・ブラウンは、「お金だけではありません。国土安全保障や国家安全保障の他の要素と同様に、私たちは協力し合い、賢くお金の使う必要があります。銀の弾丸のようなものはありませんから、私たち全員がもっと努力する必要があります。つまり資源の追加だけでなく、運用面での協力体制を構築し情報を共有しサイバー防衛のアプローチを共有することで、私たちの都市と国家にとって非常に現実的なリスクを軽減することができるのです」と述べています。

オーバーン大学のマクラリー研究所が3月に開催した講演で下院国土安全保障委員会のランキングメンバーであるジョン・カトコ議員(ニューヨーク州選出)は、今後議会がCISAの予算を5000億円(50億ドル)に引き上げる可能性があると述べています。

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